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− 介護事業に取り組んで約30年になりますね。
堀井 私は会社員生活をしながら祖母、母を26年間介護してきました。その経験から、自分たちが迎える21世紀の老後はどうなるかを考えるようになったのです。日本は世界でも例のないスピードで高齢化し、2008年の高齢化率22・1%が、2045年には38・2%になると予測されています。しかも、100歳以上も、現在約5万人が、20年後には100万人に達するとみられています。
− まさに未踏社会。
堀井 そうです。100歳の方の子供の中には70、80歳で、介護される立場になる方もおられるでしょう。2000年に介護保険制度がスタートしましたが、措置制度の介護、老後の肉体を支える介護だけでは社会が疲弊してしまう。情緒も含めた精神と肉体の両面が支えられなければ充足した老後にはならないし、そのための仕組みを創らなければなりません。
それは、まず第一に、子供に頼らない老後をいかに楽しく過ごすかというプログラムを創ること、二番目は、「おじいちゃん」「おばあちゃん」と第3人称でなく個人としての尊厳と自由を失わず旅立つまで第1人称の人格を持ち続ける社会に、そして3番目のテーマが、お年寄りが増えると若い人への負担が増すということで世代間分裂が起こる、これを防ぐために高齢者も参加できる高齢者市場を創ること。我々はこの3つを追究し、21世紀の新しい生き方、そのモデルをつくってまいりました。
− それが街角ビジネスということですね。
堀井 はい。基本的に事業を行うのは地域の人たちで、地域の事業者にマネージメント、アクティビティープランなど介護スキルを提供し、その結果地域社会を豊かにする株式会社ということで街角ビジネスという言葉を使ったのですが、今でいうソーシャルビジネス、コミュニティビジネスですね。
− 現在11のホームがありますが。
堀井 21世紀はモデルのない社会で、式も答えも自分達で創っていかなければならない。ただ、介護の基本は家庭介護なんです。それが核家族化で難しくなった。そこで、地域介護への転換が求められるのですが、そのベースは家庭介護にあるということで、十数年間かかり体系化し、「いつくしみの思草(しぐさ)」というスキルを開発しました。このスキルは、介護保険では身体介護が中心ですが、加齢が進むとメンタル面がより大切になるため、その両面を支える介護システムとして開発したのです。
私達のホームが20〜30人規模なのも1人1人の生き方を大切にした介護をするためです。50人を超えると、大量生産、大量販売の画一的な方式となりシニアは幸せにはなれませんから。
− 具体的には。
堀井 日々実践している現場のクルー(職員)から聞き取りをし、改良しながらマニュアルづくりを行っています。例えば、介助にしても市販のマニュアルにはない、相手を思いやりさまざまなケースを考え実行しながらマニュアル化していきます。階層別の勉強会もテーマを決めてやっています。また、一般的に介護者と看護者は別れていますが、我々は両者が一体となってシニアのお世話をしています。
こうした「いつくしみの思草」があるから、看取りもできるのです。サンフォーレの入居者の平均年齢は91歳で、昨年は7名の方が亡くなりましたが、そのうち3名の方は100歳を超えていますし皆さんホームで看取りました。現在入居者の94%はホームで看取っています。これも日常の生活の中で職員、家族、ドクターの信頼関係が確立しているからです。
ほとんどのご家族がお別れできてありがとうと喜ばれ、感謝の手紙もたくさん頂いております。
また、わたしどもでは健康な人、要介護の人、認知症の人が一緒に生活している。食事も、1日がお赤飯、10日がお寿司やまぜご飯、15日が郷土食、22日が薬膳スープの日。この他、誕生会などの特別メニューもあり、食に関しては皆さん満足されています。
そして、レクレーション。毎日何か楽しいこと、嬉しいことを探しましょうと、プロ、クルー、介護者本人などが交替で感動のサービスを実践しています。
お店屋さんやイベントは、地域の方々も自由に参加し、講演会、セミナーも開催し好評ですよ。
− 街角ビジネスが根付いたということですね。
堀井 地域の中の施設であれば、家族も頻繁に行き来でき、地域の人が働く場にもなる。地域の人が享見合うことによって地域も豊かになる。これが私どもの街角ビジネス、コミュニティビジネスです。これら5つの特徴をシステムとして完成したのを機に、このノウハウを全国に提供していきたいと考えています。 |